レオパードゲッコー(ヒョウモントカゲモドキ)の「糞」は生体の健康状態を知る上で、非常に大切なものです。今回は排泄の習性、便秘や下痢、そこから見る病気等、今回は糞に纏わるあれこれを解説します。
レオパの排泄の習性について
1.決まった場所で排泄をする
レオパはシェルターからなるべく遠い場所で糞をします。そして、一度糞をした所でまた糞をするという習性があります。その習性を利用し、糞をして欲しい場所に糞のニオイをつけておくとまたその場所で糞をするようになるので、ある程度飼育者の意図する場所にトイレスポットを設定する事が可能です。
2.排泄をする前兆
- パネルヒーターでお腹を温める。
- ケージ内を歩き回る。
- ケージ内の壁を登ろうとしたり、シェルターで体を支え後ろ足だけで立ち、じっとしている。
これには個体差があると思いますが、うちのレオパはそういった動きを排泄前はよく行います。
3.排泄の仕方
尻尾を上げ、後ろ足をガニ股にし排泄口から糞をします。
排泄中は最も天敵に狙われやすいという本能があるのか、なかなか排泄中の姿を観察する事ができません。そして、排泄が終わると同時にケージを覗くといつものゆっくりな動きからは想像できない速さでシェルターに戻ったりもします。
レオパの糞について
1.レオパの糞の形状
レオパの糞は縦長の形状をしており、濃い茶色と黒色のような色の糞と白い尿酸、同時に透明な液体も排泄されます。他にも脱皮後やカルシウムの過剰摂取の場合は白っぽい糞になる事もあります。
糞のニオイはめちゃくちゃ臭いです。「この体からこんな臭い糞が出るのか」と初めて糞を見たときに思いました。
2.レオパの糞の処理
糞をしてから時間が経つと糞と尿酸が固形になり、透明の液体は乾いてしまいます。床材によって処理の方法は若干異なります。
キッチンペーパーを床材にされている方は丸々取り替え、土系、砂系、植物系を床材にされている方は糞と尿酸+糞をした場所の床材を使い捨てのスプーン等で回収し、衛生面を考えてその周辺の床材も取り除くことをオススメします。そして、定期的に床材を全て交換する事も大切です。
また、レオパの排泄の習性を利用し、トイレスポットにしたい場所に糞の匂いをつけたキッチンペーパーを置き、そこだけ取り替えるという方法もありますが、床材にまで浸透してしまった場合やトイレスポットからズレて排泄してしまう事もありますので、その際はしっかり処理をしてあげましょう。
衛生管理上キッチンペーパーを使用していますが、糞を取り除いた後は必ず軽く掃除をして除菌を欠かさずしております。
便秘の場合
基本的には餌を食べてから2、3日で排泄しますが、1週間排泄がない場合は便秘の可能性があります。
原因
- ケージ内の温度が低く、お腹が温められていない。
- 餌の消化不良。
- 床材を誤飲している。
- 水分不足。
- 環境変化の変化やハンドリングによるストレス。
- 病気。
- 卵が詰まっている。(メスのみ)
など様々な原因が考えられます。
便秘対策 ①温浴
- タッパー等に顔や体が浸からない程度にぬるま湯を入れる。
- 水温は35℃~40℃ぐらいが良いとされています。
- 温浴時間は大体10~15分程度。
温浴をする事により体が温まり、排泄を促す事が可能です。
また、温浴中に水を飲む可能性が高いので、水分不足も解消されやすくなります。
便秘対策 ②爬虫類用整腸剤を使う
ベンリーパック食品 レプラーぜ

生きた腸内細菌が爬虫類のおなかの細菌バランスを正常に整え、下痢や便秘を防ぎます。
- 摂餌の促進と栄養吸収力のアップが期待できる。
- 餌にダスティングして与える。
ベンリーパック食品 レプラーぜ(水溶性タイプ)

水に溶かして使うタイプ。飲み水に混ぜて与えたり、餌をふやかす時や練りエサを作る時の水に入れて使用することができます。
便秘対策 ③ヨーグルトを与える
ヨーグルトも便秘に有効な食べ物です。腸内環境を整え、水分補給にも効果的です。
与えるときは、スプーンに乗せて、レオパの目の前に持っていってあげると舐めてくれると思います。嫌がる場合は、ヨーグルトにコオロギやミルワーム等をすり潰したものを混ぜると食べる場合があります。
下痢の場合
食欲不振になり、水っぽい糞がでます。
原因
- ケージ内の温度が低く、お腹が温められていない。
- 冷凍の餌が十分解凍できておらず消化不良を起こしている。
- 環境変化の変化やハンドリングによるストレス。
- 病気。
などこちらも様々な原因が考えられます。
冷凍の餌はきちんと解凍できているか確認をしてから与えるようにしましょう。その他の対策としては基本的に便秘の時と同じです。レプラーゼは便秘と下痢のどちらの症状にも効果的です。
些細な環境の変化でストレスを感じ便秘になる個体もいますので、ハンドリングやレイアウト変更はやりすぎに注意です。
温浴中にお湯の温度が下がらないようにお湯を入れ替えたり、もう一つ温浴用のタッパーを用意し移動させる等、温度を下げない対策をしましょう。
そして、基本的にウェットシェルターを設置していれば、内側に水滴が付くので内側の壁を舐めることで水分補給が可能になりますが、稀に水入れから水を飲まない個体がいるので、霧吹きで水滴を舐めさせるかスポイトで口元に水を垂らして水分不足を防ぎましょう。
糞や体調の変化から考えられる病気
腸閉塞
餌の消化不良や誤飲した床材により、消化管で排泄物が詰まってしまう病気。
原因
ケージ内の温度が低くなり、体温が下がる事によって消化能力が落ちてしまいます。
その状態で、餌を食べ過ぎると、消化しきれず腸閉塞になってしまいます。
元々腸が細く腸閉塞を起こしやすい個体もいるようですが、ベビーはアダルトに比べ、更に腸が細いので腸閉塞をを起こしやすくなると考えられています。
また、冷凍の餌の解凍ができていない状態で与えてしまう事により消化不良を起こすという原因もあり、コオロギの後ろ脚や羽、ミルワームやジャイアントミルワームは消化に悪いと言われています。
メスの個体限定ですが、卵が詰まる事によって腸閉塞になってしまう事もあります。卵がある場合はお腹側から見ると透けて見えるので、原因の判断がしやすいと思います。
そして、腸閉塞の一番多くの原因は床材の誤飲じゃないでしょうか。キッチンペーパー等を誤飲しても糞と一緒に出てくるがおおい為、あまり問題は無いと思いますが土系や砂系、植物系の床材は誤飲をしてしまうとお腹に溜まってしまう事があります。
その他に腫瘍や寄生虫が原因という事もありますので、素人目でこれが原因だと判断するのは非常に難しい病気です。
症状
- お腹が不自然に膨らんでいる。
- 便秘の期間が長い。便秘対策をしても何も変わらない。
- 食欲の低下や吐き戻しが多い。
- 嗜好性の高い餌(ハニーワームやシルクワーム)も食べない。
予防
- 消化しやすい餌を与える。
- 温度の管理を徹底的に行う。
- 誤飲しにくい床材に変更する。
腸閉塞は放置してしまうと命の危険につながる怖い病気です。
生体をしっかり観察し、少しでも不自然な点が見られた場合、速やかに爬虫類を診察していただける動物病院に連れていきましょう。病院でレントゲンを取れば腹部に何が溜まっているかを確認する事ができるので、原因が分からないという不安は除けるかと思います。
クリプトスポリジウム(クリプト)
クリプトスポリジウムという原虫に寄生されることで発症。有効な特効薬も開発されていない。
胃炎や腸炎を引き起こし、急死する場合もあり、非常に致死率の高い病気。
原因
基本的には、クリプトに感染した爬虫類から、糞や水を媒介として感染します。感染個体と接触したり、近くで飼育したりすると、健康な個体もクリプトに感染する可能性があります。糞の掃除や飼育器具に触れたあと、手を洗わないと感染に繋がります。
症状
- 餌を食べているにも関わらず体重が減少し痩せていく。
- 下痢や嘔吐を繰り返す。
予防
- ケージや飼育用品、シェルター等の器具はすべて熱湯消毒をし、よく乾燥させる。
- 新しい生体を購入した際は、今までいた生体に感染させるリスクがある為、接触させる前に病院で検査を受ける。
感染した生体を持ち込む事で、飼育しているレオパが全滅してしまう可能性も十分に起こる非常に怖い病気です。生体を購入する際は店員さんに確認をし、クリプトの症状が出ていないか観察しましょう。また、購入した生体や飼育している生体に、クリプトの疑いがあれば、すぐに爬虫類を診察していただける動物病院で診察を受けてください。非常に致死率の高い病気ですが、回復したケースもあるようです。そして、他に爬虫類を飼育しているのであれば、感染した個体は隔離しておき、ピンセット等の器具を共用することは絶対にしないでください。
クリプトは各種消毒薬にも抵抗性があるようですが、熱湯消毒と乾燥に弱いようです。
クリプトで亡くなってしまった生体が使用していたケージや飼育用品は熱湯消毒をし、よく乾燥させましょう。ですが、少しでも不安があるという方は迷わず破棄をしましょう。
飼育用品は高価ですが、生体の命には変えられません。
クリプトが人間に感染することはないと考えられていますが、お世話をした後は必ずしっかりと手を洗い、除菌をすることをオススメします。
糞には色々な情報が隠されており、便秘や下痢といった糞に関する症状を考察する事で、生体の不調や病気についてどういった対策や予防をすれば良いか知る事ができます。そして、レオパにとって怖い病気もありますが、日頃から観察し少しでも異変を感じたら手遅れにならないようにすぐに爬虫類を診察していただける動物病院にいきましょう。
レオパの寿命は10~15年と言われていますが、少しでも健康で長生きしてもらいたいですよね。
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